ガンプラのウェザリングのやり方|汚し塗装の順番と、やりすぎたときの戻し方

組み上がったガンプラを棚に置いて、しばらく眺めていると、どこか「新品のおもちゃ」に見えてくることがあります。線も面もきれいなのに、重さが足りない。その足りなさを埋めるのがウェザリング、日本語でいう汚し塗装です。
とはいえ、せっかく組んだものに茶色い塗料を塗るのは勇気が要ります。失敗したらどうするのか、どこまで汚せばいいのか。先に書いておくと、最初のひと塗りは拭き取れます。そこさえ分かっていれば、あとは手を動かすだけです。
先に答え
最初の一歩はウォッシングだけで足ります。エナメル塗料なら溶剤で拭き取れるので、やり直しがききます。
- 買うのはエナメル塗料(220円)と溶剤(264円)の2つ。スポンジと綿棒は台所のもので足りる
- 順番はスミ入れ → デカール → つや消し → 汚し。入れ替えると前の工程をやり直すことになる
- 汚しは薄いものから濃いものへ。ウォッシング、チッピング、ドライブラシ、粉の順
- やりすぎても、下地が乾いていればエナメル溶剤で戻せる
ガンプラのウェザリング(汚し塗装)とは?何が変わるのか
ウェザリングは、雨・砂・排気・被弾といった「使われてきた痕跡」をあとから描き足す作業です。もともとは戦車や飛行機の模型で育った技法で、ガンプラに持ち込まれてからは、モビルスーツを兵器として見せるための仕上げとして定着しました。

実際に効いているのは、汚れそのものより色の幅です。成形色のままのガンプラは、1つの面がずっと同じ色で続きます。そこに茶色や黒が薄く入ると、へこんだところが暗く、出っぱったところが明るく見える。写真に撮ったときに差がはっきり出るのはこのためです。
ウェザリングで得られるもの
- へこみと出っぱりに影と光が付いて、形が立つ
- プラスチック特有の均一なテカりが消える
- 関節の合いが悪い、ゲート跡が残った、といった粗が目立たなくなる
ウェザリングで失われるもの
- 成形色のきれいさ。白はもう白ではなくなる
- 元に戻す手間。全部落とすには溶剤で洗うことになる
- 中古で売るときの値段。汚した時点で組み立て済みの改造品になる
最後の1つは先に言っておきます。汚したキットは買ったときの状態には戻りません。ガンプラを中古やメルカリで買うときの注意点でも書いたとおり、手を入れた個体は値段が付きにくくなります。手持ちの高いキットで練習しない、というのは守ったほうがいい決まりです。
汚す前に決めること|ウェザリングの順番とつや消し
いきなり塗り始めて困るのが順番です。スミ入れ、デカール、つや消しと、どれも後戻りしにくい工程があって、ウェザリングはその間に割り込みます。

ここでいちばん効くのが4番目のつや消しです。プラスチックのままの表面はつるつるしていて、粉も塗料も食いつきません。つや消しを一度吹くと、顕微鏡で見れば細かい凸凹ができた状態になり、そこに顔料が引っかかります。ウェザリングマスターのような粉を使うなら、この一手間を飛ばすと乗らずに落ちます。
スミ入れを先に済ませるのにも理由があります。溝の線は細くてきれいなほうがよく、あとから入れると、せっかくのせた汚れを拭き取ってしまいます。スミ入れとつや消しそのもののやり方はガンプラのスミ入れとつや消しのやり方に分けて書きました。
塗り始める前に確かめること
- ゲート跡とヤスリ跡を処理したか(段差に汚れが溜まって目立ちます)
- どの機体にするか決めたか(主役機より量産機のほうが失敗が目立ちません)
- どこまで汚すか決めたか(整備の行き届いた機体か、戦場から帰ってきた機体か)
- 下地がエナメルではないか(同じ系統の塗料を重ねると下まで溶けます)
下地とウェザリングで塗料の系統を変える
エナメル塗料が拭き取れるのは、下にあるラッカーや水性の塗膜をエナメル溶剤が溶かさないからです。逆に、下地もエナメルで塗ってしまうと、拭き取るときに一緒に落ちます。成形色のままのガンプラはこの点では有利で、プラスチックそのものはエナメル溶剤で溶けません。ただし長く浸けたままにすると、応力のかかったパーツが割れることがあるので、拭き取りは手早く済ませてください。
ウォッシング|全体に薄く汚れをのせる
ウェザリングの基本はこれです。薄めた塗料を面ごと塗って、乾ききる前に拭き取る。拭き残しが溝やへこみに残り、全体が少しくすみます。

- 1塗料をよく振る顔料が底に沈んでいます。混ざっていないと色が薄いまま塗ることになります
- 2面ごと塗るはみ出しは気にしません。この段階では一度全部を汚します
- 3数分おく完全に乾かすと拭き取れません。表面が落ち着く程度で止めます
- 4溶剤を含ませた綿棒で拭く面の高いところから拭きます。溝とへこみには残ります
3番目の「数分おく」が難しいところです。早すぎると全部取れてしまい、遅すぎると固まって動きません。塗った端から拭いていくくらいのつもりでちょうどよく、慣れるまではパーツを1つずつ進めるほうが安全です。
色は茶系から始めてください。黒だけで汚すと煤けた印象になり、どの機体も同じ顔になります。赤みのある茶色は土、灰色がかった茶色は排気と、使い分けるほど実感が出ます。市販のウェザリング用塗料は、この手の中間色があらかじめ作られているものです。
チッピング|塗装がはげた跡を置く
装甲の角が擦れて、下の金属色がのぞいている。あの小さな点の集まりがチッピングです。ウォッシングが全体を均すのに対して、チッピングは一点ずつ情報を足す作業になります。

道具は台所用のスポンジで足ります。手でちぎると断面が不ぞろいになり、その不ぞろいがそのまま跡の形になります。ハサミで切ると縁が揃ってしまうので、必ずちぎってください。
大事なのは塗料をほとんど落としてから叩くことです。スポンジに含ませたら、いらない紙に何度も押しつけて、もう付かないというところまで減らします。そこからパーツに当てると、やっと薄い点が置けます。濃いまま当てると、黒い塊がべったり付いて取り返しがつきません。
チッピングを置く場所
- 装甲のふち、角、前に出ている面(当たりやすいところ)
- 足首とつま先(地面に触れるところ)
- 肩やバックパックの上面(物が擦れるところ)
- 逆に、面の真ん中には置かない。何にもぶつからない場所なので嘘になります
色は黒よりも濃いグレーや茶色が自然です。本物の塗装がはげれば下は金属ですが、模型でシルバーをそのまま使うと、点がぎらついて目立ちすぎます。シルバーを使うなら、はげた跡のいちばん内側だけ、数か所に留めてください。
ドライブラシと砂汚れ|乾いた筆で質感を足す
ウォッシングが暗い方向の汚しなら、ドライブラシは明るい方向です。塗料をほとんど拭き取った筆で表面を撫でると、出っぱったところにだけ色が乗ります。

コツは2つだけです。筆を寝かせることと、これ以上は塗料が出ないというところまで拭いてから使うこと。筆を立てると毛先が溝に入ってしまい、せっかくの影を埋めてしまいます。拭きが甘いと、ただの筆ムラになります。
粉を使う道具もあります。タミヤのウェザリングマスターは、名刺サイズのパレットに3色の粉と、片方が筆・もう片方がスポンジになったツールが入っていて、770円。土ぼこりならAセット、サビと金属色ならCセットです。塗料と違って乾く時間を待たなくていいので、組み上がった状態のキットにそのまま足せます。
粉は必ず上からつや消しで閉じる
ウェザリングマスターのような粉は、表面に引っかかっているだけです。指で触れば取れますし、持ち歩けば落ちます。仕上げにつや消しを軽く吹いて閉じ込めてください。ただし厚く吹くと粉が沈んで色が薄くなるので、遠くから1回、乾かしてもう1回くらいが目安です。
傷とダメージの描き方|筆とスポンジで歴戦の機体にする
汚れとは別に、物理的な傷を入れる手もあります。装甲が削れた線、被弾した跡、擦れた縁。チッピングが点なら、こちらは線です。

意外なのは、傷の色に暗い色を使わないことです。削れた面は光を反射するので、本体色より明るい色のほうが傷に見えます。青いパーツなら白に近い水色、濃い緑なら明るい灰緑。暗い線を引くとスミ入れと区別が付かなくなり、ただ汚れているようにしか見えません。
デザインナイフで実際に削る方法もありますが、こちらは戻せません。刃を立てて引くと深い溝ができるので、小さなパーツやクリアパーツでは試さないでください。筆で描くぶんには、気に入らなければ溶剤で消せます。
ウェザリングの道具と値段|484円から始められる
専用の道具を一式そろえる必要はありません。拭き取れる塗料と、それを薄める溶剤があれば、ウォッシングもチッピングもできます。

| 道具 | 種類 | 定価 |
|---|---|---|
| ウェザリングマスターA(サンド/ライトサンド/マッド) 土ぼこり用の3色。筆とスポンジの付いたツールが入っている | 粉 | 770円 |
| ウェザリングマスターC(アカサビ/ガンメタル/シルバー) サビと金属色。はげた装甲や砲口のススに | 粉 | 770円 |
| ウェザリングスティック(マッド) 塗って指で伸ばす。足回りの泥だまり向け | 練り | 550円 |
| タミヤカラー エナメル X-1 ブラック(10ml) チッピングとウォッシングの両方に使える | 塗料 | 220円 |
| タミヤカラー エナメル溶剤 X-20(40ml) 薄めるのと、やりすぎたぶんを拭き取るのに要る | 溶剤 | 264円 |
| スミ入れ塗料 ブラック 溝に流すぶんはこちら。汚す前に済ませておく | 塗料 | 440円 |
最低限はエナメル塗料とエナメル溶剤の2つで484円です。スポンジは台所のもの、拭き取りの綿棒も家にあるもので足ります。粉まで使うならウェザリングマスターを足して1,254円。どれもキット1体ぶんより安く、次のキットにもそのまま使えます。
筆は古いものが向いています。毛先の割れた筆のほうがチッピングにもドライブラシにも都合がよく、新品の穂先が揃った筆だと、かえって線が整いすぎます。ガンプラ初心者におすすめのキットと道具でそろえた筆の、一番くたびれたものを回してください。
やりすぎた・失敗したときに戻す方法
「ウェザリング やりすぎ」で検索する人が多いのは、作業中にどこで止めればいいか分からなくなるからです。塗っている最中は目が慣れてしまい、気づくと全身が同じ濃さの茶色になっています。

エナメル塗料とウェザリング用塗料なら、溶剤を含ませた綿棒でこすれば戻せます。下地がラッカーか水性、あるいは成形色のままなら、下まで溶けることはありません。完全に乾いてからでも落ちますが、時間が経つほど力が要ります。
粉のウェザリングマスターは、つや消しで閉じる前なら筆で払えばほとんど取れます。閉じたあとは落ちないので、吹く前に一度離れて見る習慣をつけてください。
拭き取るときは、綿棒を一方向だけに動かすと後始末が表現になります。上から下へ揃えて拭けば、流れた跡がそのまま雨だれに見える。やり直しのつもりが、そのまま次の工程になるわけです。知恵袋の回答で教わった手ですが、実際にやると戻すより早く格好が付きます。
止めどきの目安
- 1メートル離れて、汚れが「模様」ではなく「陰影」に見える
- 成形色が何色だったか、まだ分かる
- 汚れている場所に理由がある(足回り、排気口、装甲のふち)
やりすぎのしるし
- どのパーツも同じ濃さの茶色になっている
- 離れて見ると全身が暗い色の塊に見える
- 汚れが垂直な面にも水平な面にも同じように付いている
もう1つの手として、汚す面と汚さない面を決めてしまうやり方があります。足から腰までは強く、胸から上は弱く、頭はほぼ素のまま。実機でも地面に近いところほど汚れるので、理屈にも合っています。全身を均一に汚さないだけで、やりすぎには見えなくなります。知恵袋でも、均一に汚すと窮屈に見える、見る人がどういう汚れか分かるほうがいい、という回答が付いていました。
どうしても加減が分からないなら、一度ウェザリング無しで完成させてしまうのも手です。棚に並べて何日か眺めて、物足りないと思ったところにだけ足していく。同じ質問に付いていた回答のなかで、これがいちばん現実的に思えました。塗っている最中の目で判断しないで済みます。
汚して映えるガンプラはどれか
ここからは当サイトのデータです。載せているキットの公式の商品ページを読んでいるので、商品説明で汚れの表現に触れているキットを探しました。
- 843件公式の商品説明を読めたキット
- 1件汚れの表現に触れている
- 93件名前に量産機が入る HG
汚れの表現に触れているのは1件だけでした。HG 1/144 ザクII F型 ソラリ機で、フルCGで描かれるディテールや汚し表現を1/144スケールで再現したと書かれています。しかもその汚れは塗装ではなく、全身のモールドや汚しを再現できるマーキングシールとして付属する形です。
つまり、どのキットがウェザリング向きかという案内は、商品ページのどこにもありません。手がかりを別のところに求めると、機体の種類と値段が残ります。

名前にザク・ジム・グフ・ドムといった量産機が入る HG は93件あり、定価の中央値は1,870円。いっぽう名前にガンダムが入る HG は232件で、中央値は1,980円です。差は小さく見えますが、定価1,500円以下に絞ると量産機は23件、ガンダムは35件。母数が2倍以上違うので、安い側の密度ははっきり量産機に寄っています。
さらに、量産機の HG のうち18件は、いま新品が定価以下で買えます。失敗しても惜しくない値段で、汚しが似合う機体という条件に、ちょうど当てはまる層です。
| キット | 定価 | 新品の最安 | 次の再販 |
|---|---|---|---|
| HGUC 1/144 MSM-07 ズゴック 面が大きく丸い。塗って拭き取るだけで汚れの濃淡が出る | 1,100円 | 880円 定価以下 | 2026年10月 |
| HGUC 1/144 RGM-79 ジム 白い装甲が広い。汚しの強さが一目で分かる | 1,100円 | 990円 定価以下 | 2026年10月 |
| HGUC 1/144 グフカスタム 陸戦機。足回りの泥と装甲の傷が似合う | 1,980円 | 1,470円 定価以下 | 2026年10月 |
| HGUC 1/144 ザクI ジオンの量産機。緑の成形色はサビ色と相性がいい | 1,320円 | 1,320円 定価以下 | 2027年2月 |
| HG 1/144 ザクII F型 ソラリ機 (復讐のレクイエム) 公式が商品説明で汚し表現に触れている唯一のキット | 2,090円 | 2,050円 定価以下 | 予定なし |
| HGUC 1/144 ドム/リック・ドム ホバーの脚部。砂と煤の汚しを足しやすい | 2,090円 | 2,090円 定価以下 | 2026年10月 |
品切れのものは、2026年11月のガンプラ再販やHGUCの再販予定で戻ってくる月を確かめてください。安いキットを探すなら安いガンプラのおすすめも合わせてどうぞ。
定価以下で買えるガンプラを見る新品の最安値が定価以下のキットを、毎日集めています
ガンプラのウェザリングでよくある質問
ウェザリングは無塗装(成形色のまま)でもできますか?
できます。むしろ成形色のままのほうが、エナメル塗料の拭き取りでプラスチックが溶ける心配がありません。ただし表面がつるつるなので、粉を使うなら先につや消しを1回吹いてください。塗料のウォッシングだけなら、そのままでも乗ります。
ウェザリングの道具は最低限いくらかかりますか?
エナメル塗料(220円)とエナメル溶剤(264円)の2つ、484円です。スポンジは台所用、拭き取りは綿棒で足ります。粉を使いたくなったらタミヤのウェザリングマスターが770円。どれも次のキットに使い回せます。
ウォッシングとスミ入れは何が違いますか?
スミ入れは溝の線だけに色を入れる作業で、仕上がりはきれいなまま。ウォッシングは面ごと塗ってから拭き取るので、溝だけでなく面にも薄く色が残ります。順番としてはスミ入れが先です。あとからスミ入れすると、のせた汚れを拭き取ってしまいます。
ウェザリングをやりすぎたときは元に戻せますか?
エナメル塗料とウェザリング用塗料なら、溶剤を含ませた綿棒でこすれば落ちます。下地がラッカーや水性、あるいは成形色のままなら下まで溶けません。粉はつや消しで閉じる前なら筆で払えます。閉じてしまうと落ちないので、吹く前に一度離れて確かめてください。
ウェザリングに向いているガンプラはどれですか?
ザク・ジム・グフ・ドムといった量産機が向きます。主役機より汚しが似合ううえ、定価が安く、失敗したときの痛手が小さいからです。白い装甲が広いジムや、面の大きなズゴックは汚れの濃淡が分かりやすく、練習台にちょうどいいキットです。
どの色の塗料から買えばいいですか?
最初の1本は茶系です。黒だけで汚すと煤けた印象になり、どの機体も同じ顔になります。赤みのある茶色は土、灰色がかった茶色は排気と使い分けられるので、2本目は別の茶色を足してください。シルバーは最後で構いません。
ウェザリングの前につや消しは必要ですか?
粉を使うなら必要です。つるつるした表面には顔料が引っかからず、乗せてもすぐ落ちます。塗料のウォッシングだけなら無くてもできますが、つや消しを吹いたほうが拭き取りの加減がしやすくなります。仕上げにもう1回吹いて、粉を閉じ込めてください。
ウェザリングしたガンプラは売れますか?
買取の対象としては、組み立て済みでさらに手を入れた個体になるので、値段は大きく下がります。将来手放すかもしれないキットでは試さないでください。練習は定価以下で買えるキットで済ませるのが安全です。
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